牛、馬、山羊、そして鹿。あなたがハマる「革」はどれか?
- 2020.01.06
- 革について
ジャケット、バッグ、靴、ベルトに財布。
大人が身につけるアイテムの最高級のものといえば、それは本革製であると誰もが口を揃える事でしょう。
けれどもひと口に革といっても、その素材は様々です。
ヘビやワニなどの爬虫類、ダチョウなどの鳥類、そしてサメやウナギなどの魚類や両生類、といった全ての脊椎動物からは革製品となる原皮が取れますが、上記の皮革は軍用の革として用いられてきたカンガルーなども含め、ほとんどが温暖な地域の産物であり、日本人には基本的にマイナーな世界です。
一方、私たちに馴染み深い哺乳類の革だけでも主なものが6種類あり、それぞれに特徴や長所に違いがあります。
本稿では、牛を筆頭とする代表的なレザーとなる6種について、それがどのような魅力を持った革であるかに迫っていきたいと思います。
1.牛革
まず、革製品と聞いて多くの人が真っ先に思い浮かべるのが、牛革だと思います。
牛の革は美しく丈夫であり、メンテナンスがしやすく、経年変化を楽しむのにも適していると言われます。
もちろんその品質の高さもさる事ながら、その一頭の身体の大きさ、そして世界中で毎日食肉用に屠殺されている事による膨大なサイクルでの安定供給によって、革製品のシェアは不動の1位に君臨し続けています。
牛革は、国内でのなめし加工技術は世界的にも評価の高いものですが、原皮そのものはほとんどが外国産です。
国産牛は脂身が多く、革としての用途には適さないという事情もあるようです。
2.豚革
牛に継ぐ生産量を誇るのは豚革です。
日本国内でも安定生産できるため輸入品の多い牛革に対して全て国産で賄える豚革は、かつてその価値は低いとされながら、近年は加工方法の多様さ、その汎用性の高さから海外ブランドも積極的に取り入れており、その価値観は覆されつつあります。
その革の特徴として軽量性・通気性に優れ、摩擦にも強いという長所があげられますが、短所として豚が密集した飼育環境にあり、互いにかじり合うなどの習性から、傷のある皮が多くなる事、また体の部位による革の質の差が大きいなどがよく言われる事です。
通気性を生かして手袋や、摩擦に強い特性を生かして靴の内張りに使われてきましたが、オールメイドイン東京の豚革を売りとする「Decibell」は東日本における革製造のメッカ・東京を舞台に「カッコいい豚革」の製品を展開し、注目されています。
希少ながら他に店頭で見ることができるのは、馬、山羊、羊そして鹿の革製品です。
3.馬革
馬革は成牛の革とともに欧米ではハイドに分類される大型皮革で、わずかに食肉用に生産される農耕馬から取られます。
一般的に繊維が荒く、厚みに欠け、摩擦に対する強度も豚革に劣ると言われますが、唯一つ、臀部の「網様層」における繊維は緻密で美しく、「革の宝石」と称されるコードバンは、最高級の紳士靴やランドセルに用いられます。
国内におけるコードバンはココマイスターや北海道のソメスサドルなど多くのブランドが扱うほか、豊岡鞄の「アートフィアー」が馬革のシワとムラ感、表情の豊かさにこだわって他に見られない独特の製品を送り出しています。
4.山羊革
山羊革は、日本では馴染みがありませんが独特の柔らかな肌触りに矛盾するかのような頑丈さ、そして摩擦への強さを併せ持つ、優れた皮革として海外ブランドではよく用いられています。
日本では、京都を中心に展開するシルクロード・トレーディングが山羊革にオイルコーティングしたものを使用しており、その独特の肌合いが魅力となっています。
5.羊革
羊革は、ソフトな感触と繊維のきめ細かさ抜きん出た保温性が特徴で、レディース・アウタージャケットやコート、ゴルフ用手袋といった衣料品に多く使われています。
羊といっても、毛が豊かな羊毛用の品種とは違い、温暖な地域の、脂肪も毛も少ない乳・肉用の羊が用いられます。
特に感触の素晴らしい点から、肌が直接触れる寝具や椅子・ソファー、さらに書物の装丁などにも使われています。
6.鹿革
最後に紹介するのが、鹿革です。
鹿が上記5種と異なるのは、未だに大半が野生動物であるという点です。
野生ゆえの皮のキズの多さから、表皮を取り除いたセーム皮のイメージが強いですが、実は日本人にとって古代からの長きに渡り、皮革と関わってきた歴史は、この鹿とともにありました。
今ではほぼ完全に輸入に頼っている状況ではありますが、伸縮性・耐久性のみならず抜群の通気性、且つ軽量性やしなやかさを併せ持ち、また他の皮革のような手入れをあまり必要としないまま長年を維持できる特性から、熱烈なファンも少なくない革です。
日本国内で鹿革へのこだわりを見せる企業が、北海道・小樽を拠点に札幌・函館に展開する「水芭蕉グループ」です。
札幌は狸小路の「こぶしや」というお土産屋さんの2階にあり、観光で何気なく立ち寄られている方も多いかも知れません。
どの皮革も、それぞれの魅力を持ち、知れば知るほどどれを選ぶべきか迷ってしまいますが、個人的には豚革のリュックや手袋に縁があるので、牛革の陰に隠れ見下されていた感のある豚革を、日本の誇りとして盛り上げようという「Decibell」さんは応援し強く推していきたいところです。
あなたも様々なお店から独自の入口を見つけて、自身のこだわりの「革」にハマってみて下さい!
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